石上露子の旧杉山家住宅~江戸時代の町家に「らせん階段」をつけた女流歌人
デザイナーズ物件では定番とも言える「らせん階段」のルーツを探ってみました。
らせん階段はもともと、狭いスペースに階段を作れるという機能性から住宅にも取り入れられるようになったものですが、デザイナーズ物件においては、そのインテリア・デザインとしての造形が好まれて多様される傾向にあります。
「らせん」って何か神秘性を感じさせますし「ヘーゲルの弁証法」におけるらせん的発展の哲学も思い起こされて、デザイナーズ物件には欠かせないアイテムのひとつです。
■世界最古のらせん階段
現存する世界最古のらせん階段を探したところ世界遺産にも登録された
「マルウィヤ・ミナレット(852年)」ではないかと言われています。
室内のらせん階段ではなくて、伝説にある「バベルの塔」のように建物の周りをらせん状に上るようになっている塔です。
■江戸時代の商家「旧杉山家住宅」の中に「らせん階段」が!
世界最初に住宅に使われたらせん階段を探すの難しいので、現存する日本民家におけるらせん階段を探してみました。
重要文化財にも指定された大阪富田林にある江戸時代の商家である
「旧杉山家住宅」をみていたら、なんと階段がらせん状になっているではありませんか。
これが日本民家で最古かどうかは確認できませんが、機能性よりもデザインを意識してつけられた民家のらせん階段としてはかなり先駆者的ではないかと思われます。
この外観の江戸時代の旧家にらせん階段とは、何か不釣合いな感じがしたので、よーく読んで見ると、明治時代にこの家に生まれた女流歌人の石上露子が改築して設けたのだそうです。
どういう意図でらせん階段をつけたのかわかりませんが、歌人というクリエイターであったことから、やはりそのモダンなデザインに惹かれたものと勝手に判断して、日本におけるデザイナーズハウス・ファンの先駆者のひとりとして讃えることにします。
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